流れる水は凍らない
今日カーラジオを聞いていたら、誰の言葉だったかは忘れたけれどいいな、と思った一節があった。
流れる水のように生きるというものだった気がする。流れる水は凍らないし、腐らない。
私の好きな言葉も行雲流水だ。字も好きだが、言葉を発した時の響きまでまるで流れるようだ。意味は空を行く雲や水のように自然であること。
もちろん自然はよいものばかりをもたらさないが、拘泥もしない。
そんなものが今必要なのかもしれない。
悩んでばかりいてぐるぐる迷っていても、きれいに流れてはいかないのだし。その場しのぎで逃げるのではなくて、よく考えてみようかな。
今日の夕焼けはひどく赤くて、昨日インターネットで見たレイキャビクの空のようだった。
一日分遠い場所に離れていても、空はつながっているんだなあと少し安心した。
今日は七夕。
いつものくもり空ではあるけれど、たくさんの願い事がつるされた笹をあちこちで見かけて、夏が来たことを知る。
仕事先にあった笹につられて、私も一つだけ願い事を書いた。ずいぶんと久しぶりだった。内緒話みたいに隠れて、隣の小学生のりりしい字のそばにそっとつるした。
かないますように。
夏になると思い出す吉原幸子の詩がある。
前にも上げたことがあるかもしれないが、季節に合うと思うので置いておく。
吉原幸子/憧れ
すきとほったものがほしい
すきとほったものが 好き
いろんないろのセロファンで包んだ
きれいな つま楊枝があった
それから
てのひらにくねる
いつまでも裏返ってくねる 赤や青のオブラートの魚
ゼリーのお菓子
ビー玉
うす緑いろの おはじき
ガラスは泡ごと固まってゐて
のらくろのかほのついた 黒い石けり石
それから
花のつゆをしぼって いろ水やさんごっこ
手もそまる
憶ひもそまる
それから
霧のよるのネオンサイン
それから
すきとほったものが好きだった
あの
すきとほったものたちがほしい
いろんないろの
ちょっと七夕らしいのも。
Steven Lubin, Mozart, Variations in C, K.265 (300e), on "Ah, vous dirai-je maman"
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