パシフィック・リム/特撮よ永遠なれ

■パシフィック・リム(米・2013)

2013年、地球滅亡の危機は太平洋の海底からやってきた。
時空の亀裂が海底に突如として生じ、未知の巨大怪獣が現れたのだ。人類はその圧倒的な力を前に核弾頭以外の対抗手段を持たなかったが、やがて国同士のわだかまりを超えて共同で兵器を開発する。それが鋼鉄の巨人ロボット、イェーガーだった。
イェーガーを武器に、ようやく人類は怪獣に勝利する。 一躍ヒーローとなったパイロットたちは次々と逆転を重ね、やがて世界は怪獣の脅威を忘れかけていた。
7年後、さらなる脅威でその平穏が破られることになろうとは、まだ誰も知らずに…。


ここまでが冒頭20分くらいの話だろうか。
週末ごとにやってきた面倒な仕事の締め切りの連打がようやく一区切りついてきたのでちょっと一言書きます。 いまさらですが、パシフィック・リムです!!!もう何度知人友人知らない人に勧めたか分からない今夏公開のアクション映画でございます。内容?ロボvs怪獣!!!
「おいおいいつの時代だよ」って言うな今だよ。ちなみに直近の近未来。

要約:ロボVS怪獣!!!それだけ!!!文句あっか!!!
内容はいたって単純で、本当にロボvs怪獣なんです。それ以外はむしろないといってもいい(こちらの評も参考に:「カイジュー映画、日本襲来」)。
しかし手掛けたのは日本の怪獣映画とアニメで育ったと豪語するメキシコ人監督ギレルモ・デル・トロ、そのクオリティーがすごい。
日本人ならば昔、いつかどこかで見たシーンのてんこ盛り。主人公のパイロットたちがスーツを装着してロボのコックピットに乗りこむシーンですでに、興奮のあまり私は涙がこみ上げた。
「こ、こんなシーンがこんなに精巧な形で大画面で見られるとは!!!」
イェーガーのビジュアルも一瞬ダサく見えるけど、詳細な設定や動き、乗りこむパイロットたちの個性(環太平洋地域から米、豪、露、中、日のパイロットが集まっている)を見ているうちに、気が付くと手を握り締めて「いっけえええええ!!!」と叫んでしまう。おっそろしい。この映画だけは劇場で3D以上で見ないと死んだ方がましだ。たぶん好きなイェーガーで一晩語り続けられる人間がいるだろう。ちなみに私は最初ロシアのチェルノ・アルファだったが、その後はやはりジプシー・デンジャーに落ち着きました。

最近よくある、ヒーローであるところの主人公がひたすら悩み続けるようなところが一切ないのが割りきっていていっそ気持ちいい。 むしろキャラクターの性格が知れるエピソードはほぼざっくりと削り取られていて、小説やビジュアルブックでやっとその背景が垣間見えるくらいだ。恐らくキャラクターが多いので、そこを突き詰めると二時間では話が進まなくなるんだろう。昨年のチート宇宙人VS日米海軍映画『バトルシップ』が気に入った方は大体好きになってくれるノリではないかと思う。 ノーラン監督のバットマン(『ダークナイト』他)は、3部作にわたって主人公が悩み続けているからな!!!(好きだけど)

イェーガーのパイロットは操縦の際の負担を分け合うべく2人で乗り込むことが基本。しかも、それは相当の精神的なつながりがないとシンクロできない。つまり相棒なくして乗り込めないというところも、少年漫画的に熱さを倍増させてくれる。
主人公のローリー(チャーリー・ハナム)はかつて活躍したものの今はトラウマを抱えるパイロットで、新たな彼の相棒も暗い過去を秘めながらも打倒怪獣を誓うマコ(菊地凛子)。同じようなバックグラウンドを持つ彼らがイェーガーを操縦するシーンは迫力もさながら、彼らの間に絆ができたことを意味し、それだけで胸がいっぱいになるはずだ。
さらに、ここではパイロットだけでなく彼らを取り囲むスタッフや司令官など、普段はバックにいるはずの人たちがかなりの頻度で画面に現れる。各イェーガーには専属のチームスタッフがいるらしく、よく見ると彼らの制服も少しずつ分かれているようだ。F1を彷彿とさせるチーム力に興奮が抑えきれないよ!

ファンメイドのパシフィック・リム東宝ゴジラ版予告(この違和感のなさがすごい)


監督のデル・トロは生粋のオタクで、パンフレットでは「中野ブロードウェイでモスラの幼虫フィギュアを買った」と得意げにインタビュアーに語っていた。先日のプロモ来日でも、スーツケース18個分のフィギュアをお土産に帰って行ったというニュースが(笑)。
本作も最後に、ゴジラ生みの親本多猪四郎と特撮の名監督レイ・ハリーハウゼンへ捧ぐとのクレジットがされている。

あと、クトゥルー神話の影響もあるんじゃないかという説がパンフにもあり、「海からやってくる異次元の恐ろしい何か(しかも太平洋)」ってそういえばクトゥルーだよなあ…とぼんやり思った。さだかではないが。
あと、吹き替え版は声優も豪華なのでお勧めだよ!シャアやアムロがさりげなくいます。

私は2D字幕、3D字幕、3D吹き替えを見に行き、会う人ごとに「パシフィック・リムを劇場で見てくれ、頼む!!」と叫び続けた結果、7人が見に行ってくれました。みんな「すごかった!!!」と言ってくれるので宣教師冥利に尽きる。
しかし今夏はこのほか『風立ちぬ』『ワールド・ウォーZ』『スタートレック・イントゥ・ダークネス』など大作がずらりと並んでいた上、本国のアメリカでは「ロボものが売れない」という大前提があったため、かなり苦戦を強いられたもよう。
それをひっくり返したのが、中国での興行収入だ。 パイロットで中国出身の三つ子がちょっと出て来るので、その効果はかなりあったみたい。それともロボものはアジアで強いのかな?
ツィッターでも脚本家、漫画家などアーティストを中心にパシリム人気が広がった。名古屋で上映された4DX(立体で見えるだけでなく座席が動くし霧までかかる)は全国から熱狂的なファンが集うありさまとなり、リバイバル上映が決定した模様。
わ、私だっていきたい!!!

漫画家の内藤泰宏先生が言っていた「パシフィック・義務」(劇場で見る義務)に尽きる。
もう上映終了しているかもだけどね!!!(涙目)最後まで応援するよ!!

★パシフィック・リム公式サイト


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