英国どこでも迷子1 満を持してコニー・ウィリス参り (London)

春先にも言っていた通り、6月にイギリスに行ってきた。
端的に述べれば、ダニクレとDoctor Whoとタイムトラベルのせい。
007とDWの50周年を目の当たりにした挙句、その時ハマっていたSF小説が第二次世界大戦時のロンドンが舞台だったから大変だ。うおお、これは明白なる運命だ!行かねば!!と慌てて飛行機を予約し、今さらながら本当に初めての個人旅行になった(これまでは何だかんだでパックを活用していたのです)。
ここからはその記録。

■2013,22,Jun (1、2日目、ロンドン)

ロンドンに来てしまった。
あんなに直前にネットで確認したにもかかわらず、ヒースロー空港の地下で、私はすでにイギリスのSuica、オイスターカードの買い方で躓いていた。
(結局そのとき買ったカードは後にバスなどの7日間券だったことが判明、1日後に新しく買うはめになる)
さらに言うと、地元の空港で友人から「物を落とすな」と散々言われたくせに、乗り継ぎの韓国でパスポートケースを落とした。パスポートだけは死んでも離さなかったので許してほしい。

イギリスは約10年前以来の2回目。もともとロンドンを拠点にいたわけではないから、地の利もあんまりない。宿は空港から鉄道一本で辿りついて比較的便のいいアールズ・コートにとった。夜9時くらいにやっと到着。ホテルは1万円以上するのに、部屋が細長く暗く狭い。これが、イギリス…(涙目)!その日は疲れ果てた上に、外の明るささえ分からない部屋だったからそのまま閉じこもってみそ汁とビスケットだけを夕食にするという、観光というよりも遭難に近い酷い有様だった。
「一体私はここで何してんだろ…」
電車の音がひっきりなしに聞こえる。飢えで途方にくれてベッドにへばりつきながらテレビをつけると、ウィンブルドンをやっていた。その瞬間、「あ、イギリスにいる」とやっと合点がいった。
そういえば私は念願の場所に、いたのだった。


2日目の朝は、近くで見つけたカフェで朝ご飯を食べた。初のイギリスごはん。
イギリスごはんといえば「まずい」、だ。(だ、大丈夫だろうか…)と恐る恐る食べたら、案外美味しかった。「やるじゃんイギリス!まじかよ!!」と興奮したのは、だぶん昨晩ろくなものを食べてなかったせいもある。大体パンだけでそんなにまずく作れるのって、もはや才能だろうし。それでも期待が上向いたのは言うまでもない。


カフェの2階。なんとなく雑居アートっぽい

この日はマクベスを見にGlobe theatreに行くと決めていたので、朝からロンドン・ブリッジ駅へ向かう。駅からはテムズ川沿いにごちゃごちゃとした道を行って15分くらい。結構離れている。道に迷って人に聞きながら何とか歩いた。

道すがらの、たぶんサザーク大聖堂?

個性的な建築ザ・シャードとWW2関連の記念碑
シェイクスピアの時代の劇場を再現したグローブ座(Shakespeare's Globe Theatre)は、テート・モダンのすぐ近く。その名の通り円形の劇場。DWで以前コンパニオンだったローリー役のアーサーが出演した劇場でもあったから、一度行ってみたかった。





無事に夜の回のチケットを買って任務達成。隣のテート・モダンに立ち寄る。ここはかつて発電所だった場所で、建物がそのまま美術館になっている。ちなみにダニエル・クレイグの映画『Jの悲劇』でも使われている。



フラッシュをたかなければ撮影も大丈夫みたいだ

ロンドンの美術館は規模が大きいのに基本は無料で太っ腹だ。その代わり、客にはDonateが求められる。コインを少しずつ寄付しながら、広い建物を隅々まで巡るともう疲れ切ってしまった。
しかし私にとってのメインはこれからなのだ。
コニー・ウィリスのSF小説『ブラック・アウト』の中で、重要な建物として登場するセント・ポール大聖堂はテムズ川を挟んで目の前にある。第二次世界大戦時にはドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)がロンドンを空襲し、辺りは火の海となった。ウィリスの小説で、タイムスリップした主人公たちはまさにその有様を目撃することになる。
ミレニアム・ブリッジを渡って、私はぞくぞくしながらセント・ポール大聖堂へ向かった。

セント・ポール大聖堂。604年建築。ドームが特徴的

大聖堂の前に立つ銅像は、空襲の火から命がけで大聖堂を守った消防士たちを記念したものだ。台座には彼らの名が刻まれている。



ちょうど行ったのが日曜のミサの日だったため、奥までは入れなかった。それでも椅子に座り、ドームを見上げているだけで幸せだった。
それから、その裏手にある聖バーソロミュー病院へも行った。ドラマSHERLOCK好きはもちろん、聖典のシャーロキアンにもお馴染みの、ホームズとワトスンが最初に出会う場所だ(『緋色の研究』)。『ブラック・アウト』ではヒロインが戦火のさなか、けが人を車に乗せて運びこむ病院として描かれている。


たぶん続く。

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