ピッチ・パーフェクト/ガールズは諦めない

どん底のアカペラガールズグループがトップを目指す話、と聞いたら誰もがなんとなく「それ知ってる」と言うだろうし、きっとオチも想像がついてしまうことだろう。それでも私は映画『ピッチ・パーフェクト』を愛してやまない。
『ピッチ・パーフェクト1』(米・2012)は、バーデン大のアカペラグループ、『バーデン・ベラーズ』が大会で大失敗をしたことから物語が始まる。ベラーズの評判はがた落ち、残されたメンバーは何が何でも新入部員をかき集めねばならなくなる。そこへやってきたのは作曲家志望で個人主義のベッカ(アナ・ケンドリック)、下ネタ好きで我が道を行く「太っちょ」エイミー(レベル・ウィルソン)、さらにビッチ、ゲイ、小声過ぎる不思議少女などなどスタイルも国籍もでこぼこの女の子たち。それぞれに才能はあるものの、旧態依然とした指導をするリーダー・オードリーについて行けず、チームはばらばらのままだった。
ベッカはオードリーに不満を抱きながらも、次第にベラーズのメンバーに心を許し始める。同級生でライバルのボーイズグループに入ったジェシーともいい感じに。けれども人間関係が苦手な彼女は、やがて大きな壁にぶつかってしまう。




『ピッチ・パーフェクト1』はミュージカルコメディ映画であると同時に、青春映画の要素が強い。中盤からはあからさまに、80年代青春映画の名作『ブレックファスト・クラブ』(米・1985)へのオマージュが描かれる。この映画は、アメリカのスクールカーストを描いた映画だ。
高校の花形、不良、ガリ勉など個性がばらばらな5人のティーンが、ある理由からそれぞれ補講に参加しなければいけなくなり、顔を合わせた教室で初めてまともに会話をする。最初は警戒し合っていたものの、ほかに誰もいない中で、誰にも話せずにいた自分の内面について少しずつ打ち明け始めるのだ。


『ピッチ・パーフェクト』でも個性が全く違うメンバーが集まり、激しくぶつかり合いながらもお互いを認めていく。今ではよくある話かもしれないが、そこに歌という要素が加わると途端にこの映画は輝き始める。
アカペラグループ最初のオーディションで、ベッカ演じるアナがカップを使いながら歌う『Cups』(When I'm gone)は話題になり、You tubeではさまざまな挑戦動画が見られるようになった。



I've got my ticket for the long way 'round
Two bottle whiskey for the way
And I sure would like some sweet company
And I'm leaving tomorrow. What'd you say?

When I'm gone, when I'm gone
You're gonna miss me when I'm gone
You're gonna miss me by my hair
You're gonna miss me everywhere, oh
You're gonna miss me when I'm gone

長い旅路のチケットと
ウィスキーを2本買った
あとは大好きな仲間がいてくれたらな
明日私は旅立つと知ったら、あなたはなんて言うだろう?

私が旅立ってしまったら
きっと寂しくなるよ 私がいなくなったら
私の髪を思い出したり
行く先々で私のことを思い出したりして
きっと寂しくなるんだから

ちなみにこの歌は2でも、卒業を控えたメンバーがたき火の前で歌い出したり、世界大会の冒頭ではベラーズがハンドクラップでカップの音を再現するという風に重要なシーンで使われている。

アカペラグループがそれぞれのテーマで歌い継いでバトルを繰り広げるリフ・オフもこの映画の見せ場の一つ。リフ・オフは見ていて本当に楽しい。一方で気になるのは「本当に役者たちは歌っているのか?」ということだ。全員かは怪しいところだが、もともと主役のアナ・ケンドリックやジェシーを演じるスカイラー・アスティンはブロードウェイのミュージカルに出演しており、アナは98年に初出演の舞台でトニー賞にノミネートされている。(ちなみにスカイラーは1でベラーズのリーダーだったアンナ・キャンプと昨年結婚している)主要メンバーは歌っていることになるんじゃないかと思う。
★参考:町山智浩たまむすび『ピッチ・パーフェクト』抜き出し

『ピッチ・パーフェクト2』(2015)は、大会のホスト役として出演もしているエリザベス・バンクスが監督となり、よりコメディー色が強まっている。前作のような丁寧なタッチではないが、私はこちらも好きだ。
前作で名誉を回復し、大会常連グループとなったはずのベラーズは、オバマ大統領夫妻(本物らしい)も見ている大舞台でもっとひどいへまを犯す。本作では、どぎついジョークを体を張って引き受ける「太っちょ」エイミーが第二の主役といって間違いないだろう。ベラーズは面目躍如のために初の世界大会優勝を目指すが、圧倒的な組織力を誇るドイツのグループを前に迷走。さらにリーダーになったベッカも将来に目が行きがちになり、メンバー間には亀裂が走ってしまう。

『ピッチ・パーフェクト』のいいところは、自分にはないものが他者にあることを知って、相手を認めていくことだと思う。彼らは必ず挫折をするし、部活のほかにも恋人や叶えたい夢もある。それでも仲間を見放したりはしない。彼らにとって仲間は、きっとエンジンのようなものなんだろう。
2では新入生エミリー(ヘイリー・ステインフェルド)のエンディングでの笑顔に、この映画でやりたかったことの全てが込められている。私はなんだか昔自分がいた学生寮のことを思い出して、笑えるのにちょっと泣けてしまった。

2の最後に流れるのは、ベラーズでゲイのシンシアを演じるエスタ-・ディーンのCrazy  Youngsters。PVにはベラーズメンバーのアンナ・キャンプやブリタニー・スノウ、ドイツグループ『ダス・サウンド・マシーン』にいたフルラ・ボーグも出演している。ロンドン、サンフランシスコ、ベルリンと違う場所でそれぞれ音楽を楽しむ若者たちが出てくるのがすてき。大好きだ。


One day the world will be gone
There'll be no one here to walk the land
One day what you know will be wrong
There'll be no one here to hold your hand

Right now we're crazy youngsters
Time is running out, but who cares we're running free
They call us crazy youngsters
We don't apologize, we're mad and running free

They call us crazy youngsters
Time is running out but who cares we're running free
Hell yeah, we're crazy youngsters
We don't apologize, we're mad and running free

(Cause we got) Hey, we got a lot of things to do (Hey)
Hey, we got a lot of things to prove
(Yeah we got) Yeah we got a lot of room to grow
(Hey) Yeah we got a lot of miles to go
So we keep driving, we keep driving

One day when the story's all told
There'll be no more words to fill the page
One night when the stars are all gone
There'll be no more light to guide the way

Right now we're crazy youngsters
Time is running out, but who cares we're running free
They call us crazy youngsters
We don't apologize, we're mad and running free

They call us crazy youngsters
Time is running out but who cares we're running free
Hell yeah, we're crazy youngsters
We don't apologize, we're mad and running free

(Cause we got) Hey, we got a lot of things to do (Hey)
Hey, we got a lot of things to prove
(Yeah we got) Yeah we got a lot of room to grow (Oh grow)
(Hey) Yeah we got a lot of miles to go
So we keep driving, we keep driving

(Oh) We keep driving, we keep driving (driving, driving, hey)

And don't blink till its over (over)
The fun has just begun
Let's finish the race
While our hearts are young

(Cause we're) Cause we're crazy youngsters
Time is running out but who cares we're running free
Hell yeah we're crazy youngsters (crazy youngsters)
We don't apologize, we're mad and running free

(Cause we got) Hey, we got a lot of things to do (Hey)
Hey we got a lot of things to prove

ある日世界がなくなったら
地上を歩く人は誰もいなくなる
あなたの知っていたことが間違いだったら
手を取ってくれる人が誰もいなくなってしまう

私たちは愚かな若者
時は過ぎ去っていくのに 自由に走る私たちを誰が気にとめる?
誰かは私たちを愚かな若者だって言う
そんなのに謝りはしない、狂っていたって自由に走っていく

私たちにはたくさんやることがある
色んなことを試してみたい
広げたい部屋がたくさんある
何マイルだって進んでいく
走り続けて、ずっと走り続けていって

いつか全ては物語られる
ページを埋める言葉も尽き果てて
あらゆる星はいつかは消える
道しるべになる光さえ見えなくなって

私たちは愚かな若者
時間は過ぎていく、自由に走る私たちを誰が気にするだろう?
誰かは私たちを愚かな若者だって言う
そんなのに謝りはしない、狂ってたって自由に走って行く

終わるまで瞬きはしないでね
お楽しみは今始まったばかり
とっととレースを終わらせよう
ハートがまだ新鮮なうちに

私たちは愚かな若者
時は過ぎ去っていくのに 自由に走る私たちを誰が気にとめる?
私たちは馬鹿な若者
謝りはしない、狂ってたって自由に走って行く

だって私たちにはやりたいことがたくさんある
試したいことが山ほどあるんだ


(歌詞は意訳なので、ミスがあったらご指摘ください)
第3弾が今年公開らしいけれど、一体どんな話になるのか予告だけだと全く検討もつかない…




コメント

人気の投稿