アイルランドへ行こう3:超高速ケルズの書

2017, 9-10, June

日帰りツアーの続き。キルケニーに入る前に風邪気味で体調ががくんと悪くなってしまったので、あんまり街を歩く気力がなかった。とりあえず昼御飯を食べようと、レストランで野菜のグリルと名物のレッドエールを頼んだけれど、おかげでさらに体が冷えてしまったのだった。
キルケニー城の裏の庭は出入り自由なので、ヨタヨタと入って散歩している犬を眺めていた。中世の面影を残す街ということだが、割と近代的なよくある街のようにも思えた。 城の中や修道院の中に入ったなら、もっと違う感じなんだろうなあ。

キルケニーのお城

キルケニーの街。古い面影を残すが、よく見てみると衣料量販店とかもちらほら

ツアーが終わってダブリンへ。道に迷いながらも(似たような建物が多いのだ!)ホテルに戻って休んでから、晩ご飯を食べる場所を探した。いまいち食欲がわかなくて悩んでしまったが、レストランでフィッシュクリームスープとワイン、パンだけ注文した。ウェイターのおじさんが人なつこい笑顔でいい感じ。日本にいたこともあるらしく「こんにちは」と挨拶してくれた。疲れていたので、なんだかほっとした。

翌日、早めに起きて、先日晩ご飯を探しがてら見つけたオーガニックっぽいカフェに入った。
サラダはビュッフェ形式になっていて、決まった大きさの容器に入れるとその大きさで値段を決めてくれる。生野菜に飢えていた私はありったけの野菜を詰め込んだつもりだったが、レジのお兄さんは「もっと入れられるよ??」と不思議そうな顔で指摘した。…やっぱりこの国は食べ物の量がボリューミーだと思う。


 果物のスムージーも気になって注文したものの、出てきたカップはトールサイズを遙かにしのぐビッグサイズで、小雨が降る12度の朝に飲める代物ではなかった。泣く泣く飲みきれなかったスムージーをホテルの部屋に置いて、荷物を預ける。
朝の目的地はアイルランドの至宝とも言われる「ケルズの書」がある大学、トリニティ・カレッジだった。しかし、ここで一つ大問題が発生した。
時刻は午前10時45分。
「ケルズの書」展示室への入館を11時に予約していたのだが、ホテルからトリニティ・カレッジまで常人で徒歩30分はかかることが判明したのだ。
しぬ!!!!
初日のタクシーのおっちゃんは「15分くらいかな?」と言ってたのに!タクシー感覚か~~~!!ウアアアァ~~!!!猛烈な早歩きで飛ばしても、入り口まで着くのに20分。時刻はとうに予約時間を過ぎていた。焦りながらも入り口前の学生に事情を説明したら、ほかの学生に相談して入れてくれた。た、助かった!!!


トリニティ・カレッジは1592年にエリザベス一世が創設した伝統ある総合大学。当初はイングランドの支配下であったため、プロテスタントの子弟のみが入学を許可された。

旧図書館にケルズの書の展示室がある。予約した方が並ばずに済む

ケルズの書は、8~9世紀ごろに制作された中世のキリスト教福音書の写本で、美しいケルト文様の装飾が特徴だ。もとはスコットランドのアイオナ島(アイルランドの守護聖人が亡命して作った修道院がある)でつくられ、その後アイルランドで完成した。
最近だと、アイルランドのアニメ映画『ソング・オブ・ザ・シー』のトム・ムーア監督のデビュー作『ブレンダンとケルズの秘密』でもファンタジーの中で取り上げられている。


参考:WIRED「神話とアニメの愛蘭土紀行」

展示室内は朝だというのに大勢の観光客でひしめき合っている。写真撮影は禁止。ぎゅうぎゅうの部屋の中で見たケルズの書は思ったよりも大きく、小さな机一つ分くらいあった。毎日1ページ、違うページがめくられるので、680ページ分を直にみようとしたら2年はかかりそうだ。
展示室の後で見られる旧図書館ロングルームも、美しい図書館として世界的に知られている。シンメトリーの建物の左右に天井まで本が並んでいる様は見事で、みんなが見とれている間にもどんどんと人は増えていくのだった。

ロングルーム。元は平たい天井だったが、書架が増えるにつれて改築が進んだ



展示室を出ると、入り口前には100人ほどの行列ができていた。
キャンパス内をぶらついて、小さな庭のアジサイや大学寮裏のベンチを何ともなく眺めると、ベンチには亡くなった大学教授の名前が刻まれていた。代々こうして寄贈されてベンチは増えているのかもしれない。

観光客でいっぱいの大学も、裏手に回ると静かなものでした。自分の大学が観光地ってどんな気分かな?




おみやげを買って、猛スピードでホテルへ戻る。

路面電車の線路増設中らしく、とにかくどこもかしこも工事中

目抜き通りのグラフトン・ストリートには路上ミュージシャンもあちこちに。映画『Once ダブリンの街角で』で主人公が歌っていたのもこの通りじゃないかな。



グラフトン・ストリート。ブティックも建ち並ぶ中、路上の花屋さんが印象的だった


いい声の女の子

St.Stephan's Green Shopping Center。フードコートが便利。トイレは有料なので小銭に注意

大急ぎで走ってホテルに戻ってチェックアウトと同時に、高速バスの乗り場へのタクシーをお願いする。1時15分発なのに、もう12時50分だった。
死にそうな顔の私から事情を聞いたホテルのお姉さんは「OK、すぐにタクシーは来るから。とりあえずお茶でも飲んだら?」とビュッフェで待たせてくれた。なんていい人なんだ…(涙目)。タクシーが来ると、奥で預けたスーツケースを慌ただしく持ってきてくれ、何から何までお世話になってしまった。
道はあちこち工事中だったため混雑していたが、高速バスはキャンセル待ちの客の対応で時刻を過ぎてもまだ乗り場に停まっていた。やったー!!!
すし詰め状態のバスに乗り込むと、一路ゴールウェイへ。直通バスで3時間弱の道のりだった。
ちょっとさよならのダブリン


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