アイルランドへ行こう 4:緑なす丘を越えて(GALWAY)

2017,Jun,10

前回まではこちら。
次の目的地、ゴールウェイは、アイルランド西部のコナハト(コノート)という地域にある港町。ダブリンからも直行のバスが出ていて行きやすく、夏の観光地としても人気が高い街だ。
とりわけ2017年は、イギリスの人気ポップ歌手エド・シーランの曲『Galway Girl』の題材にもなった。女優シアーシャ・ローナンと夜のゴールウェイを駆けめぐるまるで観光ガイドのようなPVも作られ、この一地方都市の名は、アイルランドのみならず世界規模で何百万回とリピートされたことだろう。



その一方でゴールウェイは、古来のゲールタハト(アイルランド語を話す地域)とも接しており、未だに街中でアイルランド語(ゲール語)話者に遭遇する率も高いという。
街自体も、中心部には観光地らしく飲食店街が立ち並ぶにぎやかなストリートもあるが、少し離れると川や海、うちの近所にもありそうな普通の住宅街といった光景が続く。観光シーズン以外は、割と静かな雰囲気の場所なのかもしれない。

ゴールウェイへ向かう途中、高速バスにすし詰めになって揺られながら窓の外を眺めていて、緑の多いところだなと思った。そもそも、アイルランドはその緑の豊かさから「エメラルドの島」と呼ばれているという。シンボルカラーも緑で、守護聖人をしのぶセントパトリックデーには人々は緑色のものを着ることになっている。
これまで行ったことのある場所が荒野が多かったせいか、道路沿いに見えるもさもさした緑と馬、白い羊の群はなんだか新鮮だった。

もさもさの緑

ゴールウェイに着き、街中から川を渡り少し行ったところでタクシーを降りた。荷物を抱え何とかホテル前に着いたのだが、アパートメントタイプで、電話で連絡しないと管理人につながらなかった。
問題は、短期間だからと、私が海外で携帯電話を使えるようにしていなかったことだ。うわー初歩的ミス!
困った私はアパートメントの周辺をうろつき、入り口は暗証番号を入れないと入れないオートキータイプだと確認してから、観念して近くで犬の散歩をしていた女性に声をかけた。

「あの、管理人と連絡を取りたいんですけど…」

事情を話すと、彼女もちょうど携帯電話を持たずに歩いていたそうで、親切なことにさらに通りすがった男性から電話を借りてくれた。なんていい人なんだ!!
管理人を待っている間、彼女も一緒に待っていてくれた。可愛い犬をなでようとしたら犬に警戒されてちょっと悲しかったけれど。

観光シーズンが始まる初夏、ホテルの値段も上がりつつあった。中心部からは少しだけ離れているけれど、歩いてどこにでも行ける距離にあるアパートメントをゲットしていた。入ってみると、値段の割に部屋が広すぎて驚いた。これは数人で長期間暮らす方が楽しいだろうな~と思ったものの、カラフルな彩りはおしゃれで素敵だった。



朝から動いて疲れ果てていたので、荷物をほどくとすぐさまベッドにつっぷした。
そのまま寝ていたらあっという間に午後8時近くになる。日が高いので夜という感覚はあまりしないが、晩ご飯を食べ逃してしまいそうだったので、仕方なくマップアプリを開いて近くのレストランを探す。
幸運なことに、目の鼻の先にシーフードレストランHookedがあった。早速出かけてみると、白い木材の床が印象的なカジュアルな雰囲気のお店だった。なかなかいい感じ。メニューを見て悩んで、ここ数日ろくなものを食べていなかったので、シーフードのタリアテッレを注文する。



削ったチーズ、ムール貝、イカにガーリックトーストのバゲットもついていて、ものすごいボリューム。そしておいしい!!必死に食べたがどうしても食べきれず、会計の時にレジ横の瓶にチップを入れながら「食べきれなくて残念…」と店員さんに言ったら、「仕方ないよあのサイズだもん」と言われた。どうやら元からシェアを想定した公認ビッグサイズだったらしい。
一人旅はこういうところがな~!と意地汚く己の胃袋のふがいなさをかみしめるも、いい店を見つけられたことに安心して部屋に戻った。

この後、ホテルのコインランドリーで洗濯に失敗し、深夜の小雨の中、街中の商店まで小銭を作りにいく羽目になろうとは夢にも思わずに。


参考:
栩木伸明著『アイルランド紀行』(中公新書)

ゲールタハトとは?

アイルランドの第一公用語はアイルランド語だが、第二公用語の英語がやはり主流で、今では話す人もごく限られているそう。言語を絶やさぬように教育機関で学習を行ったり、表示を英語と同時表記するなどの取り組みが行われている。

おまけ:夜はテレビでマーティンが見られて嬉しかった

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